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自転車ツーキニスト(通勤者)の著者が、自転車の楽しさと基礎知識(種類、パーツ、選び方、乗り方、メンテナンス)を書いていて、とてもおもしろい本です。Webで検索して得た情報ではかなり売れてもいるようでした。
リア・ディレイラー(つまり変速機)は、7段、8段、9段とあるが、7段は普及品、8段は高級品、9段はレース用であるとか、ドロップハンドル用のディレイラーのチェンジレバーで、ブレーキレバーと一体になっているものがあるとか、リカンベントと呼ばれる寝そべって乗るような奇抜に見える自転車が実は、この姿勢の方が人間工学的に力のかけ方が合理的で、空気抵抗も低く、スピードだって格段に出るとか、細いタイヤだとブレーキしたときに、ロックし易いので注意が必要など、初めて知ったことも多くありました。
普段走っていて、私が体で覚えたことが、そのまま記述されているところもあります。上り坂や向かい風には、軽いギアにして、ゆっくり行こう。とこれに尽きます。抵抗が大きいのに、同じ速度で行こうとするからしんどいのです。ゆっくり走れば、単に時間がかかるだけ。それどころか、風、これは楽しみでもあります。頬を撫でていく柔らかい風、どんよりとした空のもと、瞬間的にぶちあたってくる強風、登り切った坂道の向こうから爽やかに駆け抜けていく風。
例年より早くほころび始めた桜の宵、春の嵐のような強風。そんな暖かな風の塊の中は、ぐっと軽いギアに入れて、ふわふわと漂いながら走りたい。
「風という地球の息吹。それを全身で浴びることが出来るのが自転車なのだ。」
中でも自転車のすばらしさを語っている部分には、深く共感しました。
「夏は暑いのだ。汗を掻き掻き移動するのだ。冬は寒いのだ。外を走るのがイヤになるほどに。でも、だからこそ春に、秋に『ああ、イイ季節になったなぁ、風が気持ちいいなぁ』と思える。秋風の匂いに気づく、春に若草の香りがする。それが、この地球に生きてるということだろう。」
そう、自転車は、人工的なバーチャルな生活の中で、リアルな感覚を強く感じられる世界なのです。
そして、変わらなければならない、今の豊かで便利な世の中、について訴えています。ヨーロッパの自転車先進都市のレポートは圧巻でした。
私の中では、ずっと米国の方を向いていた気持ちが、欧州に向きつつあります。成熟、これがこれからの日本、そして、世界のキーワードになるのではないかという思いがあります。
他の本(『スロー・イズ・ビューティフル』辻信一著)で、このようなことが書かれていました。
「米国ではほとんどの場所で、車なしに生きていくことが極めて難しい。日本も、特に田舎ではますますそうなってきている。(中略)それはこうした新しい製品を買わなければ、生活がしづらい、というように社会のしくみそのものをつくり直してきたからだ。」
「一九二〇年代まで、ロサンゼルスは世界でも有数の通勤電車のある街だった。それを自動車会社が買収したのです。彼らは次第に電車を減らしてゆき、不便なものにして、やがて赤字にして廃止した。自動車産業は同じようにアメリカ中の鉄道や路面電車の会社を買収して、車文化を作った。とても暴力的な歴史なのです。」(『経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか』)
自転車先進都市では、この逆をやっているということなのです。ボンでは市街地のクルマは時速三〇キロ以下で走ることが州の法律になっているそうです。「ミュンスター市では、市の都市計画課こそが、市内自転車化の首謀者だった。」そこの課長氏の話、
「自転車が走りやすい街は、すなわちクルマが走りにくい街なのだ。我々はそこから都市計画をスタートした。最初は街の中心部の一方通行化から始めた。(中略)その次にしたのは、都市中心部からの完全なクルマの締め出しだ。」
アムステルダムでは、
「一九八〇年代末期、最初に政府、市当局が「コレからは自転車を」と言い出したときには、ご他聞に漏れず市民からも反発があったという。しかし、その不満を解消していったのは、何と言っても「自転車に実際に乗ってみること」だった。(中略)健康も、エコも、排気ガス削減も、渋滞解消も、結果はみんな後からついてきた。まず、自転車ありき、で正しかったのだ。この国はその手段できれいな空気と、渋滞なき都市交通と、確実な幸せを手に入れた。(中略)すべて自らの自由意志に基づいて、自己責任のもとに自由。その街で、人々は自転車を自ら選ぶ。」
素晴らしい。今、私も本当に自転車の楽しさを実感しています。この楽しさを伝える輪を広げていけたらなと思っています。そして、それが確かに自然を取り戻す第一歩になると思うのです。
これからのビジョンを書いているところにも、根本的な点で、はっとする部分がありました。
「自転車レーンは、必ずと言っていいほど歩道を半分に区切ってその車道側を自転車レーンとしている。これではまったくの本末転倒であって、それらのものを見るたびに、何のための自転車レーンだと、私は行政担当者のアタマの中身を疑う。(中略)自転車が環境に貢献するのは、別に自転車自体が環境に良いわけではなく、今までクルマに乗っていた人が、クルマを降りて自転車に乗るからなのだ。」
京都議定書の批准承認案も国会に提出される運びになったようです。日本も変わっていくことを、私は予感(希望的観測)しています。
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